| 職場と労働法相談コーナー |
| ここに掲載したのは、「労働通信」ホームページにメールでよせられた相談の内容です。 |
| 相談 |
はじめてメールいたします。この手の問い合わせをどこにしたら良いのか分からなくてメールさせていただきました。
会社での待遇などについてなのですが、時間外手当や休日出勤手当が一切つかない、しかも会社の役員が、「手当がつかないのは当然だ」というようなことは改善できるのでしょうか?
というのが、今思いついたところです。
仕事内容、スタッフ人間関係はとても好きなものなので、同じメンバーで続けていきたいと思っております。会社側は、不満をもつ人はいままでも辞めていったし、辞めていけばいいといった感じでした。
職種はサービス業ですが、このままではお客様のために完全を目指したサービスをすることも出来なるのではないかと心配です。
仕事をするためにどうしても時間外になってしまうのも、仕事ではないと言われる始末です。だからといって、手を抜いた仕事をしたくはないわけで・・・。
なので、組合をつくるとか、こういう手続きをとると会社に権利を主張する事ができる!等の方法を知りたく思っております。
会社規模は小さいですが、スタッフ全員、仕事をやる気はあり、一致団結し、会社側と改善のための話しあいをしています。
どうぞ何かアドバイスしていただければと思っております。相談の窓口も教えていただければと・・・。
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| 「労働通信」より |
ご相談の件ですが、時間外・休日手当なし、土日の休憩時間が30分というのは明らかに労働基準法に違反しています。
労働基準法第32条では、使用者は、労働者を休憩時間をのぞき、1日8時間、週40時間をこえて労働させてはならないとさだめています。
また、第35条1項では、「使用者は労働者にたいして毎週少なくとも1回の休日をあたえなければならない」とさだめています。
以上は基本原則です。
ただし、これらの規定をこえて時間外労働や休日労働をさせる場合に関しては、労基法第36条では、使用者は、当該事業場の労働者の過半数を組織する労働組合(労働組合がない場合は、「過半数代表者」との間で時間外、休日労働に関する労使協定を書面でむすび、これを所轄の労働基準監督署に届けなければならないことになっています。これを36(サブロク)協定といいます。
そして第37条では、上記の協定に基づいて時間外労働をさせた場合は通常の賃金の2割5分増、休日労働をさせた場合は3割5分増の時間外手当を支払わなければならないとしています。
会社側がこのような法律を知らないのか、知っていても知らないふりをしているのかはわかりませんが、日本の法律では「手当をつけるのが当然」です。違反すると大変なことになります。
労基法第119条では、この規定に違反すると使用者は6カ月以下の懲役または30万円以下の罰金に処せられます。そして、このような違反にたいして労働者は、未払いの手当と同額の付加金を請求することができます(第114条)。ただし、請求の有効期限は2年まで。いいかえれば、過去2年間にさかのぼって未払いの時間外・休日手当の2倍の金額を請求することもできるのです。
「勤務時間が10:00〜19:00で、実質は9:30〜19:15」「絶対仕事をするためにどうしても時間外になってしまうのも、仕事ではないと言われる始末です」とのことですが、労基法では何をもって労働時間の起算点・終了点とするかについては明確に規定していません。しかし、すくなくとも、つぎの点は学会や行政の解釈でも一致しているそうです。
1)法令で義務づけられている行為
たとえば危険な作業現場での作業着、作業帽、安全器具などの着用
2)法令以外でも会社に就業規則や上長の指示(黙示を含む)により、作業をおこなう上で不可欠かつ不可分な行為
3)作業をおこなうために欠かせない行為
たとえば、始業時間の点検、用具の整備、作業後の格納、当日の売上と残品の計算、翌日の準備、段取りなど
4)使用者の指示命令(黙示を含む)があり、それをおこたると不利益がもたらされる行為
御社での仕事の内容が具体的にわかりませんが、おそらく9時30分〜19時15分ぐらいまでの仕事はすべて上記に入るのではないのでしょうか。
労基法では、残念ながら「忌引き」にあたる規定はありません。会社によっては就業規則などで「忌引き」規定がありますが、これはその会社独自に決めたものです。
しかし、貴方の職場では、有給休暇はないのでしょうか?
労働基準法第39条では、1年間の継続勤務と全労働日の8割以上を勤務した労働者にたいしては、初年度に最低10日間(次年度以降は勤続1年ごとに1日をくわえる)の年次有給休暇をあたえなければならないことになっています。
年次有給休暇(いわゆる有休)は労働者の権利であり、いつとるのか、何の目的でとるのかは労働者の自由です。忌引きの規定がなくても、祖父母のお葬式に年休が認められないのでしょうか。
もし、年休という制度がないとしたら、やはり使用者は6カ月以下の懲役または30万円以下の罰金に処せられます。
労基法第34条第1項では、「使用者は、1)労働時間が6時間をこえる場合においては少なくとも45分、2)8時間をこえる場合は少なくとも1時間の休憩を、3)労働時間の途中にあたえなければならない」と規定しています。あたえなかったら、やはり使用者は6カ月以下の懲役または30万円以下の罰金に処せられます。
サービス業なので土日が忙しいのは理解できますが、だからといって上記の規定に反することは許されません。みんなの知恵をしぼれば、なんとか1時間の休憩がとれるようにできるのではないでしょうか。
法律的にみれば、以上申しあげたとおり、あまりに明々白々な労基法違反がおおい職場だと思います。
まず、すでに会社側との話しあいをされているとのこと。スタッフ全員が仕事熱心で、一致団結していることはとても有利なことですので、この点はぜひ自信をもって、同僚のみなさんと事前に十分に話しあい、根回し、認識の一致をはかってから会社役員との話し合いに臨んでください。そのうえで、書店などで販売されている労働基準法の解説書などをみんなで勉強して、論拠をもって話しあいをされることがよいかと思います。
なお、会社にたいする割増賃金請求書の文例がありますので、参考にして下さい。→【ここをクリック】
いくら話しあっても会社がかたくなな態度をとるのなら、所轄の労働基準監督署などに相談するのがよいでしょう。労基法違反が明確なケースですから、会社にたいして指導が入るはずです。会社は行政には弱いですから、効果はかなりあります。
おっしゃるように、労働者が気持ちよく仕事ができて、ふだんに労働条件を改善していくためには、労働組合が必要です。労働組合があれば、日常的に労働者同士の話しあいをおこない団結を深め、それをもとにして会社と交渉することができます。
どのように労働組合をつくるかについては、「労働通信」ホームページのなかに、「労働組合の作り方」コーナーがあり、ここに基礎編と実践編を掲載しています。ぜひ、これを参考にしてみてください。→【ここをクリック】
ただ、労働組合をつくるということは、困難もおおいので、経験のある労働組合の上部団体のアドバイスも必要です。地域で、未組織労働者の組織化をまじめにとりくんでいる労働組合をさがして、具体的な相談をしてみてください。
2001年5月/「労働通信」ホームページへの相談事例より