| 「退職届け」の撤回を通知する文書 |
私は、貴社に対して、平成○○年○月○日同日付けの退職届を提出いたしました。
しかしながら、私といたしましては、再度十分に考慮した結果、今後とも貴社の社員として勤務を継続したいと決心するにいたりました。
よって、平成○○年○月○日付けの私の作成にかかります前述の退職届は、これを撤回させていただきます。
平成○年○月○日
○○市○○町○○番○○号
○○○○ 印
○○市○○町○○番○○号
株式会社 ○○○○
代表取締役 ○○○○殿
注1 退職届の提出にあたって労働者の意思表示に瑕疵(思い違いや勢いで届けを出してしまった場合など)があった場合の撤回通知です。
たとえば、若年労働者を長時間一室に押しとどめ置きつつ、懲戒解雇をほのめかして退職を迫ったり、使用者が労働者に畏怖心を生ぜしめて退職の意思表示を強要した場合、強迫による意思表示の取消(民96)ができます。
また、使用者が客観的には、解雇事由や懲戒解雇事由が無いのにも関わらず、それがあるかのように誤信させて退職届を出させた場合には、錯誤や詐欺が成立し退職届の無効・取消を主張できることになります。
「岩見交通事件 松江地益田支判昭44.11.18」
「北海道電力事件 函館地判昭47.7.19」
ただし、この書面等で退職の意思表示の撤回は、少なくとも3日以内にするのがよいです。
おおくの企業では、3日あれば「正式に退職届を受理」してしまいます。いくら瑕疵ある意思表示であっても、正式に退職届を受理されてしまえば、意思表示の撤回は難しくなります。
合意解約の退職ともなれば、公的機関等の救済は「受けられない」か、もししくは「大変非常に難しくなる」ものと考えるべきでしょう。
参考判例
「合意解約の申込たる退職願は使用者の承諾(承認)の意思表示がなされるまでの間は撤回できる・・」
(昭和自動車事件・福岡高裁判例 昭和53・8・9 判タ三七七−一三三)
私(編者−−社会保険労務士)の経験上「3日でカラータイマーが鳴りだし、7日でエネルギーが切れ、10日ともなれば「(撤回の)状況は絶望的」です。
不合理な「自決・切腹」型解雇をせまり、また、この不合理を受け入れて応じてしまいがちな風潮が、企業社会の中に根強く残っています。
使用者は、クビを切りたいときには、正々堂々と「これこれ、こう言うやむを得ない理由があるので、あなたを解雇します」と言うべきであるし、労働者も「私の首かほしいのならば、ちゃんと理由を納得いくよう説明して、正々堂々クビを切ってみなさい」と居直る勇気を持つべきです。
これが、今回の書面類の基調をなすものです。