| 職場と労働法相談コーナー |
<質問>
うちの職場であきらかな労基法違反がありますが、これをあらためさえるためには、法律的にどんな方法があるでしょうか。
<回答>
職場での労基法違反や劣悪な労働条件をかえていくためには、労働者の団結した力と職場闘争がまず第一であるが、これとむすびつけて労働基準法や労働基準監督署などをつかうことが有効な手段となる。
次の表にあるように、労基法に違反した使用者には、その罪状により罰則がきめられている。
| 労基法の内容 | 違反した場合の罰則 |
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第3条
労働者の国籍、信条、社会的身分を理由にして労働条件の差別的とりあつかいをしてはならない。 |
6カ月以下の懲役または30万円以下の罰金 |
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第4条
女子であることを理由に賃金を差別してはならない。 |
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第5条
暴行、脅迫、監禁などにより労働を強要してはならない。 |
1年以上10年以下の罰金または20万円以上300万円以下の罰金 |
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第6条
他人の就業に介入して利益をえてはならない。 |
1年以下の懲役または50万円以下の罰金 |
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第7条
労働者が労働時間中に選挙権など公民権行使のための時間を要求した場合はこばんではならない。 |
6カ月以下の懲役または30万円以下の罰金 |
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第39条
使用者は、その雇い入れの日から起算して6カ月間継続勤務し、全労働日の8割以上出勤した労働者にたいして、継続し、また分割した10労働日の有給休暇をあたえなければならない。 |
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第101条
労働基準監督官は、事業場、寄宿舎その他の付属建物を臨検し、帳簿および書類の提出をもとめ、または使用者もしくは労働者にたいして尋問をおこなうことができる。 |
臨検や帳簿の提出、尋問などを拒否し、うその陳述などをした場合30万円以下の罰金 |
労働基準監督署の「署」は、警察署の「署」をつかっているように、労働基準法の「番人」としての役割をもっている。この労基署には、労働基準監督官がいる。
この労働基準監督官には、労基法に違反しているうたがいのある企業にたいして臨検(立ち入り調査)したり、帳簿などの提出や出頭を命じたり、使用者や労働者を尋問し、労基法違反事件を捜査する司法警察官ととしての権限があたえられている。
ただし、労働基準監督官は、「労働者の味方でも企業の味方でもない」というのが原則であり、あまり大きな幻想をもってはいけないが、労働者の側が労基法違反の事実をきちんとつみあげていけば、活用することもできる。
では、労基署に労基法違反を訴えるにはどんな手段があるのだろうか。
いちばんはじめにやることは、労働基準監督官などにたいして、労基法違反の事実を「申告」することである。これは、労働基準法104条第1項で労働者にみとめられた権利であり、それを理由に労働者を解雇やその他の不利益なあつかいをしてはならない(同第2項)。
申告のやり方としては、労基法第104条第1項の申告であることをはっきりさせれば、文書でも口頭でもよいとされている。そのうえでは、違反の事実をはっきりさせておく必要がある。
申告を文書で行う場合の文例を「困ったときの文例集」に掲載しているので、参考にしていただきたい。→【ここをクリック】
労働基準監督官は、申告をうけると、通常の「定期監督」とはちがう「申告監督」をおこなう。そして、現場検証の結果、労基法違反の事実が確認されたときは、使用者にたいして「指導票」や「是正勧告書」「使用停止等命令書」などがだされる。また、終業規則が労働基準法などに違反した内容になっている場合には、変更命令をだすこともできる。
これらの命令や勧告などは、使用者にたいして大きな圧力になることはたしかである。
だが、なかにはしぶとく改善しようとしない経営者もいる。
この場合は、再申告をおこなうか、告訴・告発にふみきろう。
しかし、そこまでいくまでに、労基署そのものの動きがにぶいという問題があげられる。これにたいしては、社会的に圧力をくわえると同時に、監督機関自身にはつぎのような突きあげをやる必要がある。
では、「告訴・告発」は、どんなものだろうか。
申告が、労基法違反の改善をもとめるものであるのにたいして、告訴・告発は刑事罰の適用をもとめることである。
普通、告訴・告発といえば、検察庁や警察に申したてるものであるが、労働基準法違反等の場合は労基署にも申したてることができる。
労基署が労働者からの申告をうやむやにした場合は、その労基署自身に告訴・告発するとよい。労基署はその調書をつくる義務と、すみやかにこれにかんする書類や証拠を検察官に送付する義務がおわされているからである。
さらに頑迷な労基署を糾弾する意味で、労基署の頭をとびこえて地検に直接、告訴・告発することもできる。労基署が赤恥をかくことになるからである。
そのための手続きはつぎのようなものである。
刑事訴訟法では、「告訴」は「犯罪により罪をこうむったもの」しかできないが、「告発」は「何人でも犯罪があると思料する(考える)ときは」いつでもできることになっている。申したては、検察官や司法警察員にたいして書面でも口頭でおこなってもよいとされている。
検察庁は、申したてのあった事件の処分(起訴か不起訴か)をきめたら、「すみやかにその旨を告訴人、告発人又は請求人に通知しなければならない」ことになっている。
検察庁と資本家は、本質的におなじ側にたっているので、よほどのことがないかぎり「不起訴処分」をだしてくるが、ここでひきさがることはない。
なぜ、不起訴なのか、不起訴には「起訴猶予」と「嫌疑なし」があるが、そのいずれかをかさねて照会する必要がある。検察官には、こうした請求がある場合は、すみやかにその理由をこたえる義務がある(刑事訴訟法二六一条)。
わたしたちの場合、労基法違反の明白な事実があるわけなので、検察庁としては、違法な事実はあたけれども、「責任者が特定できない」とか「微罪である」「情状酌量」などといった理由で「起訴猶予にした」とこたえざるをえなくなる。
万一、「嫌疑なし」の回答があった場合は、検察審査会に申し立てることができる。
(参考資料『実践の手引き・労働基準法』労働情報編集委員会発行)
『労働通信』1997年7月号
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