| 職場と労働法相談コーナー |
| ここに掲載したのは、「労働通信」ホームページにメールでよせられた相談の内容です。 |
| 相談 |
突然のメールにて失礼します。
私は、半年以上前に、社長の一方的な感情によってとしか思えないような、1割も給料が減額されました。担当者に尋ねても、社長からの指示にて致し方ない、との事…。
私本人からいうのも何ですが、職務上のミスもなく、経理課の係員の端くれとして、会社の業績も考慮し、当然のことながら、可能なかぎり出費をおさえることを念頭におき、会社の将来の発展の礎になることを心がけて仕事をおこなってきたつもりです。
それが、何の説明もされずに減棒されてしまいました。
その後、カットされた理由や、カットされた金額の戻しを要請しましたが、まったく無視されました。
カットされた件について何とかしたいと思いますが、諸々知識不足にて、法律的な部分や、何らかの資料など、ご協力願えれば幸いです。
この薄給の低所得のサラリーマンをお助け願います。
| 「労働通信」より |
賃金や労働条件は、労働者の生活にかかわる問題であり、社長の気分や思いつきだけで勝手にかえられてはたまったものではありません。
まず、法律的にはつぎのような原則があります。
これまでの判例等では、賃金の減額などは、「労働条件の不利益変更」であり、原則として認められません。
とくに、特定の個人や一部の人だけにたいする「労働条件の不利益変更」は認められません。
しかし、会社業績の不振などでやむをえず「労働条件の不利益変更」を実施する場合は、その理由を労働者に説明し、同意を得る必要があります。
その内容については、労働者に受け入れさせることを許容できるだけの、「高度の必要性にもとづいた合理的な内容」がなければならないという結論がでています。しかもその「高度の必要性はかなり厳格(会社側に厳しく)に解釈されています。
かりに、「高度の必要性にもとづいた合理的な内容」があったとして、労働条件の変更をどのようにおこなうのでしょうか。
一般的には、労働条件の決め方の手続きとしては、つぎの3つがあります。
@の場合は、経営者が「高度の必要性にもとづいた合理的な内容」を十分に説明し、真に労働者が合意しなければなりません。
Aの場合、就業規則の内容を変更するということです。就業規則の内容を決めたり、変更したりする権限は経営者にあります。しかし、就業規則を変更する場合は、経営者が労働者代表の意見を聴取することが義務づけられていますので、労働者全体の意思を確認する必要があります。当然、「高度の必要性にもとづいた合理的な内容」を十分に説明する義務があります。
Bは、労働組合がある場合です。経営者は組合にたいして労働条件の不利益の理由について、「高度の必要性にもとづいた合理的な内容」を十分に説明し、同意をえる必要があります。
メールの文面からだけ判断すると、あなたの会社の社長は、自分の一方的な感情だけで、何の説明もなく、労働者の合意もなく、実行したということですから、上記の法解釈や判例にあきらかに違反しています。
まず、会社にたいして、賃金の10%のカットをするだけの「高度の必要性にもとづいた合理的な内容」を説明させる必要があるでしょう。
それにあたっては、上記のような原則があることを社長に教えてあげる必要があります。
なお、労働条件の不利益変更にたいして、会社側に異議申し立てをおこなったり、就業規則の不利益変更にたいして異議を表明する労働者代表の意見書を「困ったときの文例集」に掲載していますので、参考にして下さい。→【ここをクリック】
また都道府県の労政事務所や、お近くの労働基準監督署に相談する手もあります。
さらに、職場に労働組合がないとしたら、同僚のみなさんとも秘密裏に相談して、労働組合の結成を準備されてはどうでしょうか。個個の労働者だけで、いくら理論武装しても、やはり一人では弱いです。こういうこときこそ、労働者の団結がものをいいます。
本ホームページでも、「労働組合の作り方」というコーナーを設けていますので、参考にしてください。→【ここをクリック】
2001年6月/「労働通信」ホームページへの相談事例より
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