「労働通信」2004年5月号
「株価が一万二〇〇〇円になってきたのに景気が良いのか悪いのかようわからんな」という労働者の声がよく職場で聞こえてきます。
たしかに急に忙しくなり、今月は残業残業で仕事に追いまくられるが、来月は残業がまったくないという職場の状況です。それは、市場に連動した生産体制のため、年間をつうじての平均した生産でないために、景気がよくなって生産が順調に伸びているという実感がなかなか持てないでいるからです。
労働者の数がふえず、新入社員がはいるわけでもなく、派遣パートの採用でことすますからなおさらのことです。そして賃金が上がることはなく、成果主義にもとづいてさらに賃下げしようとしているから、景気が良くなっているというふうにはなかなか思えません。
私は、景気が良いとか悪いとかは、一国だけを見て判断することができないように思います。なぜならグローバル化のなかで一国の経済を判断することは非常にむずかしいように思うからです。
たとえば自動車のなかでは、トヨタはダントツに景気が良いが、三菱自動車は最悪の事態であり、トヨタの労働者は、「景気が良い」と答え、三菱の労働者は「景気が悪い」と答えるでしょう。他の産業でもおなじことがいえるのではないかと思います。
私の住む地域のニットメーカーは、世界でトップの生産技術を持っており、いま好景気でうるおっています。下請けや関係者に一〇〇万円相当のプレゼントを配っています。
私の働いてる工場も忙しい部門、暇な部門と日々変化しています。しかしここに来て全般的に忙しくなってきています。二〇〇三年度は、当初の生産計画にたいして生産額(実績)が上まわりました。とくに北米やヨーロッパにむけての輸出が大きく伸びています。それは、他社の市場を獲得するために、新しい技術で他社に負けない製品をつくりだすことと関係しています。また、いかに少ないコストで製品をつくりだすかという点から、コストダウンや海外生産等いろいろと考えています。
いま私の工場では、トヨタに見習えとトヨタ生産方式を必死でとりいれようとしています。その中心はJIT(ジャストインタイム)活動です。それを、いまありとあらゆるところで展開しています。しかしおおくの労働者は、このやり方に不満や疑問をもっていますが、これに反対することができません。上からの強力なトップダウンでやってきて、これになかなか反対できないでいます。景気がよくなったとしても、けっして労働者の生活や仕事にゆとりが生まれるものではありません。