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6大企業集団から4大金融グループへ |
「労働通信」2004年3月号
『労働通信』編集委員会は、現代資本主義を分析し、そこから新たな労働運動の路線、政策を発展させていくためのたたき台として『変貌する現代資本主義のその歴史的運命』(施鳳江主編、土肥民雄訳)を一月に出版した。本誌はこの研究を深めていくために、今号より資料やデータを連載していきたい。
今回は、『変貌する現代資本主義とその歴史的運命』の第一章でふれている独占資本にかんして日本での現状を考えてみよう。
現在の日本の独占資本を分析するうえで注目しなければならないことは企業集団の再編である。
戦後の日本資本主義をひっぱったのは、三井、三菱、住友、富士、三和、第一勧業など六つの銀行を頂点にかたちづくられた六大企業集団であった。「ケーレツ」ということばがそのまま英語にもなったように、それぞれの企業集団は六大銀行をメインバンクとして、総合商社、鉄鋼、造船、自動車、化学、繊維、食品などの基幹産業をフルセットでそろえ、グループ内各社で株を相互に持ち合い、いわば「同族」的な結束を誇ってきた。この「ケーレツ」の下に、下請・孫請の企業が何重にもつながり、比較的低賃金でありながら、高い技術水準と高い生産性をもった生産体制がつくりあげられてきた。それが、日本の戦後の競争力の高さの原動力でもあった。
だが、この六大企業集団は九〇年代にはいって、三井住友グループ(旧三井系+旧住友系)、みずほグループ(旧第一勧銀系+旧富士系)、三菱グループ、UFJグループ(旧三和系)の四大金融グループに大きく再編された(図1、表1参照)。

そこでは、つぎのような特徴をあげることができる。
第一は銀行そのものの淘汰・再編がすすんだことである。表2のように都銀・長期信用銀行は九〇年には一六行あったものが〇三年には八行へと淘汰された。このなかで、東京三菱、三井住友、みずほ、UFJなど、巨大な資金力を持つ「メガバンク」が生まれた。
一方、不良債権処理の過程ですくなからぬ数の金融機関が破綻に追い込まれた。とくに信用金庫は四五四行から三〇九行へ、信用組合は四一四行から一八五行へと整理・再編された。これは、信金・信組からの金融に依存してきた地場の中小企業に深刻な影響をあたえている。

また、アイワイ銀行やソニー銀行など、店舗をもたず、インターネットやコンビニのATMだけで営業する新しいタイプの銀行が生まれたことも特徴だ。
第二は、銀行を頂点とした企業集団の結束力がよわまっていることである。
表1は、四大金融グループとその傘下の企業(おもに旧六大企業集団の「社長会」に参加している企業)である。このなかでは、三井住友海上火災のように、銀行にならって新しいグループ内で合併再編をすすめているところもあるが、同時に、みずほ系の新日鉄とUFJ系の神戸製鋼所が包括提携を結んだり、三菱系の明治生命とみずほ系の安田生命が経営統合するなど従来の系列にとらわれない再編もすすんでいる。また、各企業自体が、これまでの銀行からの借り入れだけに依存するのではなく、市場から直接資金調達をおこなう傾向を強めている。
第三は、外国資本の参入がすすんでいることである。

図2は、上場企業のなかで株の持合比率が低下する一方で、外国人株比率が高まっていることを示している。この一〇年間で外国銀行の日本への参入がすすみ、そのなかには、破綻した日本長期信用銀行をアメリカのリップルウッドが買収して新生銀行として発足させるケースも生まれている。基幹産業のなかでも、日産がルノーの傘下に入り、三菱自動車もダイムラー・クライスラーの傘下に入った。
こうした銀行の再編を軸とした企業集団の再編の背景にあるものは、第一にグローバル化のもとで国際競争が激化したことである。このもとで、日本の独占資本が生き残り、競争に打ち勝っていくために、旧来の企業集団の枠を超えてでも巨大な金融・産業資本の独占集中を強化する一方で、競争力の弱い企業は銀行といえども淘汰され、場合によっては外国資本の傘下に組み込まれるという流れがつよまったといえる。
第二は、情報化をはじめとうする技術の革新と産業の再編がすすむなかで、旧来の重化学工業を軸にした企業集団の枠組みをつきくずさざるをえなくなっていることである。
図3・表3は、資本金別に資産、資本金、売上高、経常利益の集中度をあらわしたものである。


これをみると、資本金一〇億円以上の企業は、全企業数のわずか〇・二%にすぎないが、これがすべての企業の総資産の四六・二%、資本金の六四・九%、売上高の三七・七%、経常利益の五九・二%を握っている。
他方、資本金一〇〇〇万円以下の企業は、企業数の五四・一%をしめているにもかかわらず、資産の五・六%、資本金の五・八%、売上高の七・五%をしめているにすぎず、経常利益では全体として赤字になっている。
歴史的にみても、資産、資本金、売上、経常利益が大企業へと集中していくことがはっきりとみてとれる。とくに経常利益についてみると、資本金一〇〇〇万円以下の企業でも九〇年代なかばまではそこそこ利益をあげることができていたが、それ以後は赤字傾向がつづいている(図4参照)。それは、大企業が中小零細企業の利益をいかに収奪しているかをよくあらわしている。

表4は、主要各国の海外純資産(対外資産から対外債務をひいたもの)の一覧である。二〇〇〇年時点で日本の海外純資産は世界でトップの一兆一五八〇億ドルである。アメリカは海外資産が莫大であるが、それ以上に海外からの借金で経済をまわすという寄生的な経済構造になっているため海外純資産はマイナス二兆一八七〇億ドルと世界ワーストワンである。

小泉内閣は「一国平和主義ではだめだ」などといってアメリカによる大義なきイラク戦争に自衛隊を参戦させているが、これも莫大な日米の多国籍企業の海外資産をまもろうという目的がある。