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『労働通信』2003年11月号
八月二六日〜二九日に横浜市で開催された自治労の全国大会で、第二号議案であり自治労のあらたな綱領的文章である「自治労二一世紀宣言」が反対多数で否決されるという事態がおこった。第二号議案以外の運動方針は賛成多数で可決され、「二一世紀宣言」も九月二八日の続開大会では承認されたが、なぜこのような事態になってしまったのだろうか?
自治労の綱領的文章である「自治労二一世紀宣言」には、「自由・公正・連帯社会の創造」、公共サービス労働者の結集、新しい労使関係の構築、民主主義の多元的な実践などをめざすことを掲げている。
この文章に反対した人人は、「この宣言には社会主義をめざすという文言がかけている」「二一世紀宣言は労使協調だ」という理由を掲げている。
たしかに公共企業体、民間を問わず、日本の労働組合の綱領的文章から、「社会主義を実現する」とか「社会主義をめざす」といった表現がなくなって久しい。労働組合がその運動を通じて、労働者の意識を覚醒させ、社会主義の担い手を作っていくことは大切なことであり、日本のみならず世界の労働運動を発展させる上で重要な課題ではある。
綱領的文章から「社会主義をめざす」という目標がなくなることに反対することは一般的にいって正しい。
ただ労働運動や労組運動として現時点で、どのようにして社会主義をめざすのか? この問題を解決せずに、理念だけで「社会主義という言葉がかけている」とやりあっても不毛の論争になりかねない。
そのためには、こんにち「構造改革」のもとですすめられている「地方分権・市町村合併」の動きがどうなっているか、そのもとで職場の労働者の構造や資本・当局の支配の仕方がどのように変化してきているかを分析する必要がある。
一つは、いまの「地方分権・市町村合併」の攻撃が、自治体労働者にたいするリストラ「合理化」だけでなく、社会保障制度の見直し、福祉のきりさげ――子どもの保育、教育、さらには医療などにかかる費用の人民負担、利用者負担の増大――さらには、消費税率のひきあげなど住民生活の破壊に直結するものとしてあることである。
自治労と自治体労働者にとってなによりも重要なことは、自分たちの権利や労働条件を実現する立場だけの闘争ではなく、市民とりわけ、貧困生活をしいられている住民の要求と利益をまもるという立場にたってたたかうことである。いま、自治労は、全国各地で活性化しているNPOの活動や住民の自主的組織と結合することがもとめられており、そして、そのおかれている位置から、労働組合と地域住民の団結と統一のカナメになることがもとめられている。そのうえで、自治体の労働組合が、住民の要求を調査し、住民の要求を実現しうる政策を提起していくことが重要になっている。
いま一つの問題は、自治体職場でも急速に増えている、臨時、契約、パートなどの非正規雇用労働者を組織することである。
現在、正規雇用の地方公務員(警察、消防をのぞく一般行政職員)が全国で約一一五万人にたいして、自治体の非正規雇用労働者の数は三〇万人強となっている(自治労の調査)。この三〇万人強という数字は自治労加盟の組合がある職場の数字なので、非加盟の職場をふくめれば三五万人〜三六万人におよぶといわれている。三〜四人に一人は非正規雇用の労働者ということになる。
とくに図書館や学童保育所、病院、体育館、女性会館といった住民サービスの最前線などは非正規職員の比率が高い。さらに、学校給食や清掃事業などは民間委託化がすすみ、市町村役場の庁舎内の情報システム部門や清掃・メンテナンスなどは外注業者に請け負わせているケースがおおい。もはや、これらの非正規雇用労働者や下請・外注業者の労働者なしに、自治体の事務・事業は一日たりとも動かなくなっている。
だが、その身分は不安定である。自治労の調査によれば、非常勤職員の八一・八%が雇用契約の期間が一年以下である。だが、実際には六割以上が三年以上の勤務をしており、雇用契約をくりかえし結んでいるケースがおおい。ところが、なかには反復契約の回数を五回までとわざわざ制限しているところさえある。
賃金も時給八〇〇年から一〇〇〇円、年収レベルでは正規職員の三分の一から四分の一というのが実態である。
このようにひとつの職場で、さまざまな雇用形態の労働者が複雑に存在しており、しかも派遣、委託、パート・アルバイトといった労働者は基本的に無権利状態であり、低賃金であり労働組合に未組織となっている。
正規職員でありイコール組合員である労働者の権利だけを主張する運動では、圧倒的多数の労働者を組織できない、つまり労働者を高めることができない状況にきている。
労働構造の変化、資本主義の構造改革が進むなかで、労組運動のあり方も変化をしてきている。
理念だけが先走るのではなく、実際の自治体労働者としての労働を通じて、地域住民のなかにはいって、住民の立場にたった政策提言をおこない、また、おなじ自治体職場のなかのパート・アルバイト、派遣などの労働者をともに働く仲間として理解し、かれらの実際から出発して要求や意見を集め、正規職員と一緒に行動できる状況をつくりだしていくことが必要となる。
自治労は今回の大会で、「地域公共サービス産別」へと脱皮するために、全水道、都市交や全国一般と組織統合する方向をうちだした。とくに全国一般を統合のパートナーとしたことは、自治体職場の非正規雇用労働者を組織するという意味でも、また全国一般が組織する地域の中小企業労働者と自治体の労働者との組織的なつながりができるという意味でも、注目に値する。
当面は、暗中模索の状況が続くだろうが、今まで日本の労働組合運動の指導者や活動家が経験したことのない状況に自治体労働運動、そして日本の労働組合運動全体が直面している。