『労働通信』2003年9月号
公立小・中・高校などの教職員を校長が査定し、成績主義の賃金に変える動きが全国でひろがっています。東京都をはじめ数県ですでに実施され、「職員室の荒廃」――ものいわぬ職場――がつたえられますが、大阪府と市の各教育委員会も昨年の七月に試験実施を提案し、教職員組合との協議をへて強行しました。本年度の六月から試行、来年度からは賃金・処遇への反映がいわれています。教職員一人一人が年間の仕事の目標を書く「自己申告書」を提出すること、校長が教職員を育てる立場から「育成シート」を作成し、S、A、B、C、Dの五段階に評価すること、などは民間企業ですでに破綻しはじめている
形式のあと追いになっています。日教組加盟の大阪教組(府)と大阪市教組は、当初から労使一体で推進にまわりました。現場の組合員からは校長が査定し、管理強化になることへの反発がありましたが、執行部は「社会状況がきびしいから反対できない。教育委員会との協議に応じる」とし、「自分たちの組合員だけは不利な査定をさせない」と宣伝しておさえこんできました。それでも行政側の統計でさえ大阪府で三割、市で二割の教職員が一年目の試験実施の「自己申告表」の提出を拒否している現状があります。
教育委員会は、日教組加盟組合との労使協議による実質的な労使共同での実施を軸にすすめてきました。この間の論議と運動で完全に欠落しているのが教育の主権者である子ども、保護者、市民への説明と意見集約です。わたしたちは、保護者、市民と教職員の個人参加の市民団体ですが、府・市教育委員会への「撤回要求」署名の提出、要請、質問への行政としての回答要求の行動をかさねてきました。
府・市教委の担当者も招請して、五月一一日に第一回の民間公聴会を八四名の参加で開催しました(各教委とも出席拒否)。保護者の意見としては、「子どもが制服を強制されていじめられ不登校になった。体罰もあった。校長は『担任に指導する』というだけで何もしなかった。一人一人の教員が直接、話し合う関係がたいせつだ。この評価システムは何を基準で評価するのか不明だ」、「先生の評価を聞く学校からのアンケートが年一回ある。子どもが回答したアンケートにたいして担任が書き直しをさせるということがあった。このことで子どもは傷つき先生が嫌いになった。評価システムが導入されると校長の方へ目をむける先生が増えると思う」、「教育の業績は単年度だけでどこまで達成されたかは客観的に評価できない。他方『日の丸・君が代』への態度を評価にいれることは可能だ、ねらわれる教職員が自分で考えて発言しなくなり教育が変質する」などの意見がだされています。
社会の変化と保護者の要請を口実にして導入された査定制度ですが、内実は保護者・市民の声をシャットアウトし、校長と教育委員会に権限を集中するものです。ひらかれた学校とはまったく逆行し、子どもへの管理をつよめ愛国心教育につながるもの。国会ですすむ「教育基本法」改悪と一連の動きといえます。私たちは、「民間公聴会実行委員会」として府・市教育委員会への要請と回答要求の話し合いの行動をかさねながら、教職員にたいしては、「自己申告表」の不提出をひろげること、保護者、市民にたいしては校区の校長や組合の分会長や子どもの学級担任に説明をもとめる質問申し入れをとりくんでいます。