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グローバル化の背景と職場への影響を学習、討議

 

『労働通信』2001年5月号

 山口県では、いくつかの職場の労働者があつまって、毎月一回、「木曜会」という職場交流をおこなっている。一月の会合では、二〇〇一年四月をめどにして企業が国際会計基準を導入する問題がだされ、そのことが日常の職場の問題とどうむすびついているのか、その背景をどうみるかということを論議することになった。

アメリカによる一人勝ちの利益追求

 二月の会合では、最初に レジュメ で「グローバル化した資本主義とは、金融自由化によって瞬時に移動するようになった巨額の国際短期資本が主役であり、それが国境をこえて世界的規模でバブルとその破綻の波動をもたらすようになった事態をさしている。そして国際会計基準の導入によって各国の市場の開放をいっそう促進し、アメリカ金融複合体による一人勝ちの利益の追求をめざしている」ことが提起され、それをもとに討論した。

この学習会のレジュメはこちらをクリックしてください。

 まず、一昨年のシアトルにおけるWTOに反対する闘争にみられるようにグローバリゼーションに反対する世界の労働者のたたかいがまきおこっていることが論議された。韓国でも、アジア危機に直面して過剰債務がいっきょに表面化し、それを打開するとして、IMF(国際通貨基金)と政府が結託して財閥解体、リストラにともなう企業倒産と大量失業を強行して、韓国経済の動脈がアメリカの金融複合体の直接支配下におかれたことがだされた。

 日本においては、財界が日本の経済システムをアメリカン・スタンダードにもとづいて再編しようとしている。その具体化として国際会計基準の導入があり、これによって三つの過剰、すなわち、@過剰債務、A過剰設備、B過剰雇用がいっきょに表面化する可能性がある。不良債権の処理にともなう金融の再編、企業のリストラ、銀行による貸し渋りで中小企業の倒産、企業内の徹底的な人減らし「合理化」の強行、恒常的な失業の増大、年金・社会保障の改悪などがいっきょにすすめられようとしている。

 討論のなかでは、こんにちのグローバル化の目的は、世界最大の債務国であるアメリカが、金の裏付けはないにもかかわらず世界の基軸通貨であるドルと覇権を維持するために、世界の余剰資金をかき集め、それを再投資して収益をあげることにあることがあきらかにされた。

 国際会計基準は、アメリカ資本が各国の市場開放をせまり、市場に食いこんでいくために、即座に資本を投下しやすいように企業の財務状況をみてとることができるようにすることが目的である。これによりもうからないところはつぶれていかざるをえなくさせられている。

連結決算で大幅な人員削減

 討論では、こうした情勢のもとで各職場で共通して、リストラによる、人減らしと賃金抑制が強行されていることがだしあわれた。また正社員にかえて臨時・パート化、下請化、外注化、派遣社員制度の導入が強行されている。企業の合併もすすんでいる。毎年自殺者が出ている職場もあることが報告された。

 ゴム産業では、以前から分社・統合をくり返し、連結決算を導入し、そのつど大幅な要員が削減されてきた。それは生産拠点の海外への移転をともなったものである。昨年、資本は「雇用か賃下げか」をせまってきて、ボーナスの大幅ダウンと五%の賃金カットを強行した。将来退職金が大幅カットされることから「希望退職者」が大量にでた。安全教育もまともに受けていない職制の配置によって、頭髪をまきこむ大事故が発生した。配転、要員削減などによって職場秩序が破壊され、製品のクレーム返品が多発している。収入の大幅目減りで、冠婚葬祭のつきあいがひどくこたえるようになっている。こうして地場経済の不況にも拍車をかけている。

不当な仕打ちに黙っていないパート労働者

 他方では昨年末、資本がパート社員にたいして雇用契約の期限切れの通告は法律では一月前にしなくてはならないのに三日前に通告をしたことにたいして、数人のパート社員が労働規準監督署を動かして、一月分の給与(解雇予告手当)を会社より獲得することができたことも報告された。最近こうした資本の不当な仕打ちに対して、自分たちの主張をあきらかにしてたたかう労働者の動きがみられるようになっている。日ごろの会話でも自分の思ったことを率直に話すように変化している。

 こうした意識の変化は、職場における搾取と抑圧の強化への怒り、将来の退職金がどうなるのか、目減りする年金はどうなるのかなどの生活の不安の増幅、さらに腐敗した政治と社会への怒りを背景にしている。

 討論では、近年の職場における労働と資本との矛盾の激化の背景が、経済のグローバル化のもとで、資本が国際競争に生き残りをかけて労働者への犠牲転嫁を強めていることにあることがふかめられた。

 そして、「労働運動は目前の狭い枠のなかだけにとらわれていてはたたかえないことはだれでも知っている。労働者に広い視野をもたせることでたたかいやすくなる。現象と根っこの問題をはっきりさせることによって国際的な労働者階級の共通の敵をあきらかにすることができる。職場の直面した問題の根本原因をあきらかにすることが重要だ」ということが論議された。また、連合が中央段階でグローバル化の状況について現象的な分析をしているが、闘争路線が超階級的であることへの批判もだされた。

 日米独占資本がすすめるグローバリゼーションに反対し、職場における賃金抑制、人減らし「合理化」に反対する闘争を一つのものとしてとらえ、全国の労働者と連帯し、グローバリゼーションに反対する国際労働運動と連帯してたたかうことが論議された。また、根本的には、生産手段の私的所有制度に反対して、生産の社会化にともなう生産手段の社会的所有をめざしてたたかうこと、すなわち社会主義の実現をめざす労働組合運動を強化しなければならないことが論議された。そして、こうした問題を今後もひきつづき現代資本主義の分析の作業の一環としてグローバリゼーションについて認識をふかめ、視野をひろげ生産点から労働組合の階級的強化をはかっていくことの重要性を確認した。

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