| 国労一票投票 |
『労働通信』2000年11月号
国鉄労働組合は、今年5月30日にマスコミ発表された自民、公明、保守各党と社民党の「四党合意」の受諾について九月下旬に全組合員投票をおこなった。
全国の国労闘争団と、ともにたたかう組合員および支援者は、国鉄・JRの不当労働行為、不当解雇などの政治的犯罪にたいして13年間のたたかいをすすめてきたが、その意義を抹殺してしまう「四党合意」の受諾撤回をこの1カ月間国労本部にもとめてきた。けれども、そのねがいはかなえられなかった。
8月26日にひらかれた「続開大会」で高橋委員長は、まずこれまでの組織内の混乱について本部としての反省と謝罪を表明し、今大会では、
――と提起した。結果としてこの提起が大会で受け入れられ投票が実施されるにいたった。
結果は10月4日に国労本部から発表された。投票資格者2万3635人、投票総数2万3234(率98.3%)で、賛成1万3033(55.1%)、反対8511(36.0%)、保留1140(4.8%)、白紙・無効・棄権951(4.0%)であった。
| 投票資格者数 | 23,635 | 100% |
| 投票総数 | 23,234 | 98.3% |
| 賛成 | 13,033 | 55.1% |
| 反対 | 8,511 | 36.0% |
| 保留 | 1,140 | 4.8% |
| 白・無効・棄権 | 951 | 4.0% |
おおくの国労闘争団員や支援者からは、もともと一票投票を実施することそのものにたいしても、「生活をかけてたたかっている闘争団員の運命を、闘争の主体ではない全組合員の投票にゆだねることは納得できない」、「大会で『本部提案の採決はとらない』といいながら、四党合意を受諾するかどうかをろくな討議を現場でさせないままマルペケ投票で決めてしまうのは異常事態だ」、「組合規約にもない一票投票は無効である」という批判がつよくだされていた。
また結果についても、「開票そのものが信頼性に欠ける」、「過半数は賛成したが一万票を越える批判の意志が存在することがはっきりした。一票投票結果はあくまで参考にとどめるべきである」といった声がだされている。
営業・売上げ至上主義のJRにあって、とにかくはやく国鉄問題を清算して事業と生活の安定につなげ、国政選挙にて社会の改善をのぞむというJR労働者がすくなくないなかで、国労組合員にも動揺があらわれた。しかも、地方本部によっては、ただしい情報が現場におろされていない状況もあった。
賛否をめぐって組合員同士の疑心暗鬼が交差してギクシャクする雰囲気があったり、JRに法的な責任があると思っているのに、「マル(賛成)を記入しろ」といった指示が上部機関からあって、しかたなくそうした組合員もおおくいた。
不当解雇された組合員をはたして投票というかんたんなことで切ってしまってよいものだろうか。以前、全逓信労働組合が七八年の反「マル生」越年闘争で処分された組合員のうち解職処分された一二名の救済をうちきった(切って捨てた)ことのくりかえしを国労がおこなおうとしているという危ぐがおおくの闘争団員、国労組合員、支持者のなかからもだされている。
もう一度、5月30日発表の四党の基本的枠組みをみてみよう。
以上のとおりである。
7月1日の臨時大会でおおくの人人がいっているように、国労にたいしては臨時大会でJRに「法的責任がない」ことをみとめさせ、訴訟のとりさげなどを具体的にもとめているのにもかかわらず、JRがなんらかの具体的な解決方策をだすことを保証していない。
この案では闘争団の組合員が納得できる合意は不可能である。まるでお金を払ってからニセ物をつかまされた「豊田商事」のような詐欺行為に似ている。すべては「まな板のコイ」である。「人道的観点」というならJRに法的責任を認めさせ、すみやかに全員の職場復帰をまずおこなうべきではないか。
ただ、残念ながら資本主義の世の中で無条件に労働者の救済をおこなう資本家はいない。JR各社は一社をのぞいて赤字基調といわれており、現在、航空機などとの競争に血まなこになっている。労働条件をみても、「能力給」(差別的賃金制度)の導入などますます搾取が強化されている。「人道的観点」など政府・JRにあるはずがない。あるのはあくまでも「たたかう国労」をつぶす目的と、現場においてなんでも会社のいうことを聞く労働者づくりである。さらに、今回の「四党合意」がだされてきた背景には、全産業で首切り「合理化」の嵐がふきあれるなかで、日本の労働組合運動全体の闘争力量をさらにそいでいこうとする狙いもある。
いずれにせよ、国鉄・JRの不当労働行為は歴然として存在していることは明白であり、実際に1047人の労働者が業務上なんの理由もなしにクビをきられたのである。この法的責任はどうしようともくつがえらない。これらの事実が国鉄闘争の正当性を証明している。
階級的につよい労働組合運動が相手の譲歩を得られる条件であることはだれもが知っていることである。
国労本部がどう方針転換しようとも、このたたかいは継続するであろう。たたかいの主体である国労闘争団員、家族を中心に、国労組合員、そして他産業の労働者もふくめてこのたたかいをみずからの階級的たたかいとしてささえていくことが重要となっている。