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たんするTMD

『労働通信』2000年9月号

 

 アメリカは現在、大陸間弾道弾から自国を防衛するためのNMD(アメリカ本土ミサイル防衛構想)とTMD(戦略ミサイル防衛構想)をすすめている。

 TMD構想には、アメリカのほか、日本、台湾が参加を表明している。TMDは、偵察衛星やイージス艦を利用して海上と地上から、ミサイルを「迎撃」するシステムだ。低高度で進入するミサイルにたいしては、いままで「ナイキ」や「パトリオット」が配置されていたが、TMDは高高度のミサイルにも対応しようとしている。それは、レーガン政権が構想をねったものの凍結した、「スターウオーズ」の焼きなおし版にほかならない。

 この構想には、中国、朝鮮民主主義人民共和国、ロシアが猛反発しているが、計画そのものにかげりがみえはじめてきている。

開発の根拠がなくなる

 アメリカは、TMD開発の根拠として、朝鮮民主主義人民共和国がうちあげた「テポドン」が日本列島をとびこえ、将来開発がすすめば「アラスカ・西海岸にまで到達する」と主張している。しかし、このTMD構想は、現在中止寸前の状況にある。それはこの間の朝鮮半島の動きと大きく関連している。

 六月に開催された南北首脳会談による朝鮮の平和統一と南北共存の可能性の前進、沖縄サミット直前に朝鮮民主主義人民共和国を訪れたロシアのプーチン大統領と金正日総書記との会見での「人工衛星の自主開発の凍結」発言、中国・ロシア・朝鮮民主主義人民共和国のTMDにたいする反対などで、アメリカはTMD開発の根拠を失ってきている。

 さいきんではアメリカは、「中国の戦略核兵器が脅威」と宣伝して、あくまでもTMDをすすめようとしているが、中国が保有するアメリカにまで到達できる核ミサイルはわずか10発である。それは、アメリカが保有する中国に到達する核ミサイルの10分の1たらずである。世界にとってアメリカの核ミサイルこそがよっぽど脅威である。

あいつぐ実験の失敗

 しかもTMDの実験は、あいついで失敗をかさねている。地上発射型のミサイルは昨年成功したが、今年の七月の実験では失敗した。もともと「ピストルの弾をピストルで撃ち落とすようなもの」といわれ、技術的には非常に困難なしろものだ。

 あいつぐ実験失敗で、TMD構想そのものの信頼がゆらいできている。予算上の負担も大きい。開発費は現在でも300億ドルをくだらない。日本も参加しているTMDの配備予算は2兆円。空前の税金が、成功するあてもない「宇宙戦争」につぎこまれている。

 今回のTMD構想には、当初参加が予想されていた韓国が参加せず、自民族の統一は自分たちの力でやりとげることを南北首脳会談で表明した。

 中国、ロシア、朝鮮民主主義人民共和国の平和攻勢のもとで、TMD構想は、まさに「風前のともしび」となってきている。

 強大な軍事力で世界を支配しようとするアメリカのたくらみやそれにコバンザメのように食らいついていく、日本の戦略に大きな陰をおとしたことはいうまでもない。

 こうした有利な情勢をとらえながら、原水禁運動や反戦運動をつよめていくことがもとめられている。

 


8・6 ヒロシマ大行動に参加して

広島県・民間労働者 小森 忠夫

 八月六日、広島市の県立総合体育館において、広島県教組、広島県高教組などの労働組合や新社会党、ピースリンク、百万人署名運動などの市民団体が実行委員会をくみ、「被曝五五周年 再び戦争をくり返すな 8・6ヒロシマ大行動」が開催された。昨年も同様の集会がもたれ、2700人の参加であったが、今年は2800人が参加した。
 集会では、7月20日に沖縄で2万7100人が参加した嘉手納基地の包囲行動の現地報告や詩人・栗原貞子さんの詩の朗読など、あらゆる方面からの発言がされた。基調報告は元衆議院議員の小森龍邦氏がおこない、「既存の原水禁だけでなく、超党派で運動をつくっていかなければならない。そのためにこの集会が開催されている」という趣旨の内容を強調した。

 広島の団体からの発言では、広教組の山今彰氏が「日の丸・君が代」の法制化以降の県教育長による処分攻撃にめげずたたかっていることを報告した。また、大学生が学園内でなかまをつくり沖縄へいって反戦活動をしたことや、高校生が集会の前日に「集まろう! 高校生 8・5平和文化祭」を開催したとの報告には、ひときわおおくの拍手がよせられた。

 最後にスローガンとして、「アジア侵略、ヒロシマ・ナガサキ・オキナワをくりかえすな!」「憲法改悪、有事立法の制定をはばもう!」「沖縄新規基地建設反対、戦争協力を拒否しよう!」「日の丸・君が代強制・教育基本法の改悪を許さない!」をシュプレヒコールでしめくくり、集会をおえた。

 また、八月六日の記念式典をおえて、被ばく者団体七団体(うち四団体は森総理の「神の国」発言で式典に不参加)が共同で、森総理に陳情をおこなうなど、活動家や被ばく者組織のなかには、「ばらばらでは力にならない」という意識が行動ととなってあらわれている。このことは、おおくの人人の意識のなかにも存在しており、「なぜ、原水禁は二つにわれているのか」「原水禁に参加すると党利党略に利用される」という不信感は街頭だけでなく、職場でも聞かれる。

 一参加者としての感想をのべさせてもらうとすれば、この点で、この集会の追求する方向は評価することができるが、現状では既存の原水禁諸組織や諸党派が独自路線での運動をつづけており、まだ大きなうねりとして統一した運動は展開されていない。

 また、日常のリストラ「合理化」、失業問題などにどの産業も日常的にさらされているが、きわだった闘争もなく、おおくの人人の関心事は「景気がわるいからしかたない」という風潮に流される状況もある。そのようななかで、戦争の課題だけをかかげても、「それどころではない。自分がくいつなぐのに精いっぱい」という層にはなかなかひびきにくい面もあると思う。沖縄の基地闘争でも、「地域振興」などの経済的な面で運動がきりくずされることから考えても、経済的な闘争を下地に産業的に結集できる課題や戦争の課題をむすびつけることを追求することがたいせつなことではないかと思われる。

 

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