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集 グローバル化のもとでの「春闘」

「電話からマルチメディアへ」の転換で大リストラにさらされる労働者(上)

NTT労働者 松村健一

『労働通信』2000年3月号

 

 情報通信産業では、世界帝国主義の国運をかけた熾烈な争奪が展開されている。日本帝国主義は独占資本同士の利害対立や、NTT法等関連法の整備、調整などにより、国際市場への進出が大きくでおくれた。

 DDI(第二電電)、KDD(国際電電)、IDO(日本移動通信)など、内外独占資本の合併、買収、統合が急ピッチですすんでいる。このような情勢のなかで昨年7月、NTTが持株会社の統括下に東・西地域会社と県間・国際通信を牛耳るコミュニケーションズの三事業会社に分割され、アジアを中心に全世界に本格的な侵略を開始した。

民営化後17万人余を削減

 電気通信産業はいつの時代にあってもその時代の先端技術産業である。つねに新機種導入など大「合理化」攻撃のなかで、電通労働者が身をきりきざまれながら技術をささえてきた。民営化から15年、この間他産業一企業では類を見ないリストラ「合理化」の嵐がふきあれ、約17万5900人の電通労働者が減少している。支店等も1700局所から47局所にじつに40分の1程度に減少した。また交換機有人拠点局も1400局所から10局所へと140分の1にまで激減している。

 番号案内局にいたっては500カ所あったものが全廃され、電報業務拠点局も190局から20局所へと90%弱が廃止に追い込まれている。

 しかし、電話契約者数は4530万から5847万加入へと1317万回線も逆に増加している(携帯・PHSをのぞく)。全国どこにでもあった電話局の窓口が一部の大都市をのぞくとほぼ全廃にちかい状況にまで激減し,番号案内、時報、天気予報などすべてが有料化された。

民営化後の15年間で
人員 313,600→137,700
支店 1700→47
有人拠点局 1400→10
番号案内局 500→0
電報拠点 190→20

 1980年代、電信電話公社は日本帝国主義の大規模な海外侵略と独占資本の利潤を最大限確保するため、また、全人民からの収奪を国家的規模ですすめるため民営化された。そして現在さらに効率化し、倍する収奪をはかるためNTTを分割したものである。

 具体的な各社の状況を報告する。

持ち株会社

 資本金7956億円、労働者3500人であるが、そのうち3200人が研究開発にたずさわっている。経営トップと秘書がほとんどである。トップの人事権、持株を武器にしているが、子会社のドコモやデータすら思いどおりにうごかすことのできない役員がたがいに対立し、事業領域をめぐる思惑が錯綜するなかで、どう整理をはかるのか、解決できないジレンマに追い込まれている。

東日本

 資本金3350億円、労働者6万100人、東日本地域17都県の県内通信をうけもつ。電話契約数は2884万回線、ISDN契約243万回線、子会社39社、営業収益(売上)2兆1100億円をみこんでいる。社長の井上は「情報流通事業をめざすNTTの中軸としての役割をはたしたい。そのためには第一に経営基盤を確立し、『変化につよい企業』とならなければならない。またグループ内外企業と連携した『あらたな経営』をめざす。市場重視の経営をはかり『信頼・スピード・変革』をキーワードとする」と記者会見している。

西日本

 資本金3100億円、労働者6万7500人、西日本地域30府県の県内通信をになう。電話契約数2943万回線。ISDN契約200万回線、子会社33社、営業収益、売上2兆700億円をみこんでいる。

 社長の浅田は社内TVで「情報流通のエクセレントカンパニーをめざす」として、「黒字化の達成。情報流通企業への変革」が大目標であり、「ユーザーの要望にこたえられる会社への変身が必要であり、営業体制の再構築とコストダウンが必要だ。コストダウンは必須条件であり、いままでのやり方をはじめから考えなおす」と檄をとばしている。

コミュニケーションズ

 NTT100%出資の民間会社。資本金720億円、労働者6600人、長距離、国際事業をうけもつ。子会社は国際分野21社、情報通信処理分野6社、建物エンジニアリング分野5社、情報エンジニアリング1社の計33社。営業収益売上1兆1000億円を予想している。社長の鈴木は記者会見で、

  1. 世界の流通市場に参入する挑戦者としてユーザーのニーズにこたえた最高のサービスと、グローバル市場での最高のプレーヤをめざす。 
  2. サービスを回線の領域から高度サービスにうつす。国内・国際シームレスサービスやソリューションサービス、さらにはあたらしい情報通信プラットフォームなど付加価値の高いサービスに焦点をおく。 
  3. サービスエリアは、第一にアジア地域、太平洋・北米はつぎのステップとし、早期にグローバルなカレッジ体制を築く。

 ――と日本帝国主義をバックにしたむきだしの侵略的意図を強調している。

増収・増益と人員削減

 NTTグループ連結30社の1999年度上半期中間決算をみると、営業収益が10兆円を上まわり、6期連続の増収、増益になることが確実になった。上半期の営業収支が5兆91億円と1.3%増。経常利益は4922億円(21.7%)を記録。マルチメディア系収入が電話系収入を凌駕した。

 しかし人件費は370億円程度減らしている。これは時間外労働の規制や労働者の徹底した削減によるものである。このため1年前に比べ9500人がリストラ等による首切りに追い込まれ、2000年4月には新規採用者もふくめ13万4400人となる。

 持ち株会社の宮津社長は「固定電話系収入は2〜3年前まで全収入の90%以上をしめていたが、いまでは半分以下におちこんだ。このため東西地域会社の経営は非常にきびしい。しかしISDNは好調であり、光がサービスとして『モノ』になる寸前まできている。大都市部は光ファイバー回線の敷設を終えている。今後はアクセス系市場で多彩なサービスを提供していく」として、放送法の自由化の動きのなかで放送業務の配信の分野に光回線をつかおうとしている。

労働者に「自己改造」を要求

 NTTグループは、企業の性格により、@第一類(法律により規制をうける)――東西地域会社、A第二類(競争会社)――コミュニケーションズ、データ、ドコモ、B第三類(経営資源活用会社)――NTT・TE、NTT・ME、コムウェア等に分類される。

 社長・宮津は「第一類の東西地域会社はローカルの領域。アクセス系はわが国産業全体のインフラとみられるように変化してきた。市内料金をさげることが産業全体の発展につながる」、また「電話時代からの要員もおおくかかえている」と、地域会社の労働者の首切り等をもふくめ徹底した削減を強行することが独占資本、産業全体の要求であり、国家的利益だといいはっている。

 さらに宮津は「第三類のTE,ME、コムウエア等は、地域会社から相当の要員を受け入れてきた。くっていくことがそうとうむずかしい。情報流通企業として通信の周辺領域にビジネスの場をひろげる。ここがうまく展開できなければならない」としている。また労働者にたいしては、「まじめに働けばくっていけるという時代はすぎた。電話収入は半減し、安定どころではない。激変する不安定な世界・国家の経済破綻、その縮図がNTTにもあらわれている。この時代にあわせ自己改造を自分自身で」と恫喝している。

全世界に進出

 さらに宮津社長は「電気通信の世界は資本力とか効率運営等だけでやっていけるあまい世界ではない。あたらしい商品をうみだしていく能力がなければ絶対ダメ。とくに国際競争となれば技術がモノをいってくる。自分が能力をもっていれば相手も能力をもちより、連携しようということになる。能力がなければ相手にもされない。電気通信の世界は特殊である。研究開発を具現化することでいきていく世界である」と語り、研究開発を最重視している。

 NTTは技術力と圧倒的な資金力を武器に世界の四大メガキャリアに対抗し、アジアを拠点として全世界に早期に進出していくことを強調している。これこそが全世界に侵略した日本帝国主義、独占資本の海外での経済活動の飛躍と権益確保の地盤整備にほかならない。

 持ち株会社の統括下にあって唯一、経常赤字でのスタートとなった西日本地域会社の社長・浅田は「西日本会社の経営命題は、『黒字化と情報流通企業への脱皮』の二本柱である」「そのキーポイントは社員一人一人がいかに脱電話型に転換するかである」、このため「賃金の差はつける。東西各社の差よりもまず個人ベースで差をつけるのが先決だ」といいきり、能力別賃金をいっそう徹底的に強化することを明言している。

あらたな「合理化」計画

 このような状況のなかで、NTTは昨年11月「三カ年合理化」計画をうちだし、NTT労組へ提案している。その概略は2万1000人の電通労働者の首切りをふくむ削減、販売・窓口業務を約6分の1に、故障受付業務(113)を約7分の1に、料金業務を3分の1に、電話受付業務(116)を約2分の1に、まさに極限までの業務集約と統廃合をすすめるというものである。

 この破壊的な労働条件、職場環境の悪化にたいし、労組は組織をあげ全組合員に職場討議を展開している。しかし長期にわたって労働運動が停滞しているなかで、また営業活動を主体とする個別労働のもとで、労働者相互のつながりがたちきられてきたが、労働者の反応はしだいに高揚に転じてきている。

  次号 ではこの内容を報告したい。

2000年5月号の「『電話からマルチメディアへ』の転換で大リストラにさらされるNTT労働者(下)」の記事へ

 

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