零細商店主
『労働通信』2000年1月号
あいかわらず弱肉強食の規制緩和大合唱です。
論理的必然というやつですが、弱肉強食の世の中であれば庶民は生活防衛に走ります。個人消費がますます冷えこんで景気は回復しません。
われわれ薬業界でも、大部分を占める零細店は売り上げ不振に頭をかかえています。それでも何とかならないものかと経営研修会に参加するのですが、そこにには共通点があることに気がつきました。
「たいへんな時代になってきました」。講師の話はこんな言葉ではじまります。そして「こういう時代ですから」とつづきます。そこからの中身にはそれぞれの講師の得意な分野の話でちがいがあるのですが結論が共通なのです。
いわく「みなさん、スーパーマンになってください。そうすればあなたの店は生き残れます」。
スーパーマンとは何でしょうか。具体的にいいます。
慢性病の患者さんは、ご自分のことですから当然その病気にかんする本などを何冊も読んでおられ、マスコミでとりあげられる民間療法のたぐいから最新の治療法まで興味をもってとりくんでおられます。ながい治療期間をつうじて医者との対話も膨大なものとなっているでしょう。われわれプロはそういう患者さんの知識を上まわる知識をもたなければなりません。
検査の数値についても、正常値の範囲を暗記しておくことはもちろん、異常値のときはどんな原因が考えられるかも即座にアドバイスができないといけません。それもあらゆる病気についてです。
医薬分業にかかわる薬剤師会ご推薦の「服薬指導」全22巻があります。当然全部を読み、内容を身につけておかなければなりません。医者にはわがままな人もおおいいので怒らせないように、しかし必要な確認はぬかさないように努めなければなりません。
以上のようなことができれば、あなたの店は患者さんからも医者からも信頼され、いきのこることができます、というわけです。
できるか! というのがわれわれの反応です。
「このような時代ですから」という前提からはじまる話は全部役にたちません。
「このような時代」そのものを批判する視点がないかぎり、われわれ弱者の未来に役だつ話はなりたたないということを痛感しております。
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