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倒産の噂がながれている・・・
職場と労働法相談コーナー

 

倒産 の噂がながれている――どうたたかうか?

<質問>

 いま、わたしたちの職場(約900人規模の運輸会社)で倒産のうわさがひろがっている。なんとかしたいとは考えているが、労働組合もないため、労働者が話しあう場もなく、ばらばらになっている。一人一人が、「ある日、突然、倒産となったらどうするか」と不安をかかえながら仕事をしている。大部分は、「しょうがない」ということで、つぎの就職さきをさがすなど、あれこれと頭をなやませている。

 わたしも、雑誌『アエラ』12月号にのった倒産Q&Aなどを読んでいろいろな法的な手続きなどを研究しているが、まず第一に重視されるべきは、労働者がただちにあつまれる体制をどうつくるか、そこで代表をえらび、相手がだれであれ、労働者の立場にたって交渉をすすめていくことだと思う。

 倒産という状況のもとで、具体的な状況の具体的分析以外にないと思うが、おさえておくべきことなどをアドバイスいただきたい。

<編集部から>

 指摘されているように、具体的な状況分析が必要であるし、労働者が集団的に行動できる体制をどうつくるかが重要であると思う。

 そのうえで、ぜひ、すすめたいことは、労働組合の結成をいそぐことである。労働者の意志をまとめ、経営者や破産管財人などを相手に交渉したり、法的な手段に訴えたり、あるいは工場や機械などの一方的なさしおさえなどを阻止する行動をするうえでも、労働組合という合法的な組織をもって集団的な行動をおこすことが決定的に重要である。

 倒産というものは、けっして自然現象ではなく、経営者なり、銀行なりの背景資本が一定の計画をもっておこなう経済行為であり、労働者のたたかいによっては、倒産の計画を中止、変更、撤回させたりすることもけっして不可能ではない。なによりも重要なことは、「労働者への一方的な責任転嫁はゆるさない。資本家集団の連帯責任で解決せよ」というつよい怒りのもとにたたかいを組織することである。

 以下、具体的にいくつかの点について、みてみたい。

1、労働組合をつくること

 倒産問題がおこった場合、労働組合があるのと、ないのとでは決定的なちがいがある。破産宣告となった場合、労働者は即、全員解雇である。これにたいして法的な手段だけではほとんど対抗できないといってもよい。唯一の対抗できるのは労働者の団結した力であり、それを実現できるのは労働組合である。

 労働組合があると、法的な面でもいろいろと有利である。

 労働組合法では、経営者は、労働組合から話しあいをもとめられれば、かならず応じなければならないことになっている。もし、これを拒否したり、組合員を差別したりすれば、「不当労働行為」として制裁をくわえられることになる。労働組合として、労働委員会などに救済命令などをもとめることもできる。また、経営者は、ストライキなどの争議行為によって損害をうけたからといって、組合(員)にたいして損害賠償を請求することはできない。

 もちろん、いくら法律でこれらのことがきまっているといっても、資本家は労働組合の力がよわいとみれば法律でも平気でふみにじってくるし、裁判所や労働委員会もけっして労働者の味方ではない。これらに幻想をもつことなく、労働組合のもとでなかま同士が腹をわって話しあい、団結をかためることが重要である。

 ただ、いままで組合がなかった職場で、いきなり労働組合をつくるといっても、これはたやすいことではない。もともと、労働組合は一年ちかくの十分な準備期間をへてはじめて、強固な組織をつくることができるのであって、にわかにつくる「インスタント組合」では、すぐにけちらされてしまう危険性もある。

 しかし、倒産という事態になった以上、最大限の努力をして労働組合を結成し、一糸みだれぬ団結した力と合法的な地位をもって、経営者なり、債権者にたちむかう以外にない。

 そのうえで、重要なことは、労働組合づくりの核となる先進的な労働者(少人数でよい)をまず結集することである。もちろん、それは経営者にわからないように、極秘で、ほんとうに信頼できる仲間だけを結集する。倒産がさしせまったなかで、十分な準備期間はとれないかもしれないが、できるかぎりこの少人数の中核グループのなかで、労働組合の役割や法律的な知識、そして会社の動向やその背景にある情勢について学習、討議し、組合結成の具体的な段どりをきめていく。そして、機が熟した段階で一気に公然化していく。交渉を有利にすすめていくうえでは、すくなくとも過半数の労働者を組織することがのぞましい。

 くわしくは、このホームページの「労働組合の作り方」コーナーを参照にされたい。

2、倒産は自然現象ではない

 どこかの企業が倒産すると、ニュースなどでは、「裁判所が破産を宣告した」とか「会社更生法の適用を申請した」などと報道される。これはどういう手続きなのだろうか。

 倒産にかかわる手続きとしては、

  1. 倒産した企業を清算するための手続きと
  2. なんらかのかたちのその企業を整理・再建するための手続き

――と二つがある。

 倒産した企業を清算する手続きとしては、「破産」と「特別清算」という制度がある。企業の整理・再建を目的とする制度としては、「和議」「会社整理」「会社更正」の三つがある。

 また、これらとはべつに、倒産しなくても、企業閉鎖・全員解雇の攻撃を受ける例として、株主総会の決議による「会社解散」がある。

 それぞれの手続きの内容については、別表にまとめているが、これらはいずれも、債権者や株主などの利益の保護を第一とする、反労働者的な性格をもっているといえる。

   この記事および下記の表は98年に書かれたものであり、倒産した企業の清算の手続きは当時のものです。その後、2000年には商法の改悪や民事再生法の制定により、企業の合併、分割、再編、「再建」などがより簡略な手続きでおこなえるようになりました。これは、労働者にとってはいっそう不利な内容となっています。
 商法改悪の内容については、 「労働通信」2000年7月号 をご覧ください。

 

手続き 内容
倒産企業の清算を目的とした手続き 破産 裁判所による破産宣告の決定により企業の資産をすべて管財人にうつし、これを換価処分することによって債権者に平等に分配することを目的とする典型的な清算のための制度。
特別清算 すでに清算中の株式会社について、債権者が多数であり、また債権・債務が複雑であるため、通常の清算手続きではその遂行ができない場合、あるいは会社に債務超過の疑いがある場合に、債権者・清算人・株主が裁判所に申したてることによっておこなわれる。
倒産企業の整理・再建を目的とした手続き 和議 破産の手続きをとると、債権の弁済に時間がかかるうえ一般債権者に配当される額が非常に少ない場合、債務者に事業の継続を認め、債権の一部免除や期限の猶予をしたうえで、将来の収益から弁済をうける方が有利である場合におこなわれる。
会社整理 株式会社が支払い不能、債務超過におちいるおそれがあるときに、取締役、一定数の株主・債権者が裁判所に会社整理の申したてをすることを認め、裁判所の監督のもとに企業の債務を整理し、その再建をはかる制度。整理会社の債権者は、破産・和議、会社財産への強制執行などの手続きを申したてることができなくなる。
会社更正 再建の見込みがある株式会社について、債権者・株主など関係者の利害を調整しながら、その事業の維持・更生をはかることを目的とする制度。更生手続きが開始されると、会社の事業の経営や財産の管理・処分をする権利は原則として裁判所の選任した管財人にうつり、会社の取締役はその権利を失う。

 労働者にとって重要なことは、倒産の本質をどうとらえるかとうことである。倒産すれば、現象的には、なんの生産活動や営業もおこなわれず、経済活動が停止したかのようにみえる。しかし、はじめにもいったように、倒産はけっして自然現象ではなく、銀行や商社、親企業などの背景資本やこれに従属する大株主、債権者などによる、一定の目的と計画をもった経済活動である。倒産ーー企業再建というかたちをとって、ていよくリストラ「合理化」をはかったケースや、労働組合をつぶすために「偽装倒産」したというケースはかぞえきれないほどある。

 破産した企業のうち、六割ぐらいはかたちをかえて別会社として再建されているとさえいわれている。

 「倒産するかもしれない」といううわさをながすだけでも、労働者を意気消沈させ、一部を「自主退職」に追いやって、まんまと人減らしをすることができるのである。この方が、正式に「希望退職」の募集や指名解雇をして退職金の上づみなどをするより安上がりだからだ。

 「倒産してしまったらどうしようもない」といってあきらめてしまったら、敵の思うつぼである。実際にこうやって毎年何十万人も首をきられている。やはり労働者としては、倒産(あるいはそのうわさ)の要因、ねらいを分析し、労働者にだけ犠牲をおしつけて、自分たちの利益は保護し、あわよくばあらたな事業でいきのびようとする資本家集団(経営者、親会社、銀行、商社、株主)のねらいをうちやぶる必要がある。

3、企業をどう分析するか

 倒産の要因やねらいを分析するうえでは、親会社との関係をふくめてその企業についての分析をすすめなければならない。これは、倒産問題がうかびあがっている以前に、すくなくともその企業で労働運動をやろうという場合に最低限しらべておく必要があることである。

 具体的には、つぎのような項目が必要であると思われる。

  1. 企業の概観・概要――創立年月日、資本金、資本構成、役員、おもな株主、金融関係、取引先など。商業登記簿謄本、登記申請諸付属書類、株主総会への営業報告書、大蔵省への有価証券報告書などの分析。
  2. 企業の資産関係――土地建物の登記簿謄本、固定資産評価証明書、製品や機材、原材料、建物を貸借しているさいの敷金や保証金、営業報告書、決算報告書、財務諸表の分析。
  3. 企業の負債関係――抵当権について抵当権者と債権金額、一般債務、健康保険、厚生年金保険・雇用保険など社会保険料、所得税・住民税などの公租公課の分析。
  4. 労資関係――賃金明細など労働者名簿、就業規則、賃金台帳、賃金、退職金協定、労働協約など。 

4、獲得すべき協定

 倒産・解雇に反対するたたかいでは、とくに倒産の直前・直後の取組が重要である。労働組合を結成できたならば、ひぎのような労使協定を獲得するための緊急のたたかいがかかせない。

 ヾ覿函峭舁化」にかんする事前通告・協議や同意協定

  • 企業の解散、合併、縮小、休業、破産、営業譲渡、経営委任など経営変更について
  • 解雇、出向、配転、一時帰休など人事について
  • 企業の重要な財産の処分、搬出について
  • 社宅や寮の使用について

 ∩塙膤萋阿鯤歉磴垢覿定

  • 組合事務所とそれに付随する電気、ガス、水道、電話の貸与・提供について
  • 組合の会議・集会など諸活動のため会議室や食堂など企業の施設を自由におこなうことを保障する協定

 O働債権確保のための協定

  • 賃金、一時金、退職金の未払い分の確保、支払い時期、方法
  • 労働債権の支払いや担保、労働組合による自主生産のため、企業財産(土地、建物、機械設備、原材料、製品など)の管理・使用・処分権を組合に譲渡する協定、取引先からの未回収の債権を譲渡する協定

 企業倒産の場合、未払い賃金や解雇予告手当などは比較的とりやすいが、退職金などはふみたおされる可能性が高い。どこまでとれるかは、やはり力関係である。

5、工場や職場の確保

 倒産とのたたかいのなかで、まず重点となることは、土地・建物・機械設備・原料・製品など、工場や職場の管理・確保をはかることだ。

 その理由はまず第一に、親会社や銀行など資本の側は、倒産させたあとの土地や建物などの利用ついて、投下資本の回収や、債権の確保などとともに、あらかじめ計画をもっている場合がおおいからである。そのため、倒産前後に、動産をはじめ、機械、設備、原材料、土地、建物などを一方的にとりあげ、さしおさえをしてくる可能背が高い。したがって、労働組合は、団体交渉だけに終始するのではなく、労働債権の担保として、土地・建物・機械設備などをさしおさえる法的な措置を裁判所に申請し、不渡手形の発生と同時に、仮処分決定をとる準備をしておく。

「倒産した会社に未払いの労働債権(賃金)を支払わせるための文書類」を参照

 債権者が法的な措置もなしに製品や原料を搬出することは窃盗罪になる。労働組合は団体交渉や法的手段に訴えると同時に、あらゆるものの搬出を拒否し、管理するために、工場や事務所などを占拠する必要がある。これらを組合が確保し、長期に管理、占拠することができれば、資本に当初の計画の変更をせまることも可能になってくる

 また、工場を確保することは第二に、闘争の本拠地、団結の中心を確保し、当事者の活動をたやすくすると同時に、争議の存在を社会的に知らせるという意味がある。

 つぎに、親会社、銀行、商社、大株主などの背景資本を、いかに解決交渉にひきだすかということになる。そのため、労働委員会や裁判なども利用しつつ、大衆闘争を基礎に背景資本を世論で包囲して社会的に包囲していくことが重要になってくる。

6、自覚を高めることが重要

 もちろん、これだけのたたかいを組織するうえでは、しっかりとした経験と見識をもった上部団体の指導や地域的な共同闘争の組織や支援体制が不可欠である。ただ、こんにちの情勢のもとでは、それだけの闘争をささえる条件がどの地域、どの産業にもあるわけではない。また、急きょ、労働組合をつくった場合などは、労働者の意識のレベルもまちまちで、長期のたたかいも覚悟でいくのか、とりあえず未払い賃金や退職金ぐらいはとりたい――というところでいくのか、それは結集した組合員の意志できめるほかはない。

 いずれにせよ重要なことは、組合員やその家族が、「労働者への一方的な犠牲転嫁はゆるさない。資本家集団の連帯責任で解決せよ」という怒りと自覚を高めることであり、学習や交流、情勢の分析などをとおして、このような理不尽なことをおこしていく社会の仕組をつかむこである。そして、組合の核となった先進的な労働者が、たとえこの企業の存続をはたせず、ほかの職場へいったとしても、たがいに連絡をとりあい、労働運動の火種をさらに地域的にひろげていく方向を追求することが重要ではないだろうか。

 読者のみなさんのご意見、ご批判、アドバイスもお聞きしたい。

(参照『労働運動・市民運動法律辞典』) 

『労働通信』98年2月号より 

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